2005年7月11日 未明

僕は数年前、辺鄙な田舎町へと旅に出たことがあった。*1
その旅の途中で、僕の右目は、まるで殴られたかのように腫れ上がってしまった。
山林の中で、漆の木かなにかに、かぶれてしまったのだ。
そんな僕の姿を見て、現地の若者たちは僕をからかい、さかんに囃したてたのだった。


それから数年経った今。
その出来事は、誰にも話していなかった。
しかし、なぜかANがそのことを知っていて、僕のことをからかうのだった。


僕はANに聞いた。
「なんで、そんなことを知っているの?」
ANは答えた。
「俺も最近、その田舎町に遊びに行ったんだ。向こうの人間は、たまにお前のことを思い出して、話題にしているんだよ。」


ここで場面が変わる。


僕は台所で、食器を片付けている。
食器を片付けながら、僕は思った。


「どんな些細な言動でも、少しではあるけれども、他人の心に影響を与える ---。
遠く離れた場所に住んでいる人達なのに、僕の言動が、ささやかながらも影響を与えていたんだ。
なんて、不思議なことだろう。」


とても静かだけど感慨深い、そんな気持ちになった。

*1:もちろん、夢の中の設定です。