「駐韓大使一時帰国で思うこと」を読んだ人たちへ

先日書いた「駐韓大使一時帰国で思うこと - 諸悪莫作」ですが、はてブを中心にいくつかの反応をいただくことができました。 それらは興味深く拝見しています。ありがとうございます。 ところで。 あの文章はもともと考えの整理のために軽く書いたものであっ…

駐韓大使一時帰国で思うこと

日本の駐韓大使ら一時帰国へ 「慰安婦」像設置に対抗 - BBCニュース 絶望する気はさらさらないけれど、現状認識を整理するために軽く書いておく。 たとえば。 ドイツの首相が連邦議会で「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない。ナチスの行為につ…

「保育園落ちたの私だ」を忌避する人たちへ

「保育園落ちた日本死ね!!!」をきっかけとした流れから、国会前での抗議活動がおこなわれた…ということがニュースになっている。 「保育園落ちたの私だ」。そんな紙を掲げた人たちが5日、国会前に集まった。子どもが保育園に入れなかった人、子育てを終…

なぜ僕は国会前に立ったのか

ここ2ヶ月近く、僕は国会前の抗議活動に参加し続けていた*1。抗議活動の現場に立ちながら、なぜ自分はこの場に立っているのだろうか、このことをきちんと言語化すべきではないだろうかと、ずっと思い続けていた。法案は可決したものの安保法制に端を発した様…

「最悪の事態」

正直に言えば、最近良く耳にする「固有の領土」という言葉を、その概念を、僕は理解することができない。 ここで言う「固有」とは何だろう。 そしてその「固有」という言葉がどのようにして「領土」という言葉と結びつくのだろう。 そしてなぜ、この言葉はま…

地下猫さんとの議論について

ここしばらく忙しさにかまけてまとまった文章を書いていなかったのだけど、横着してはてブだけで済まそうとしたのは良くなかった。 山下俊一教授のインタビューをめぐるid:tikani_nemuru_Mとid:t_keiのやりとり 今もまとまった文章を書いている余裕はあまり…

本当にこれが望みですか?

こんな記事を読んだ。 しかし、一方で日本人は地震で起こったあらゆる物事を「仕方がない」の一言で片づけようとしてはいまいか---外国人記者の口からは、そんな鋭い意見も聞かれた。前出・パリー氏はこう言う。「避難所では皆ギリギリの生活をしている。被…

「望ましい皇族」というフィクション

このエントリはid:sukezaさんの「IDコールへのお返事 - empty island」への応答です。 sukezaさん、もしもsukezaさんが次のような人生を歩むことになったらとしたら、それは、幸せなことでしょうか。好きなように発言をしてはならない。自分の感情をそのまま…

固有性の棄却

少し遅くなってしまいましたが、「個人に依拠する」ということ - モジモジ君のブログ。みたいな。への応答を書いていきたいと思います。mojimojiさんの書かれた応答を読んだ感想を正直に書けば、僕の伝えたかったことがうまく伝わっていないな、という印象を…

「民族主義」

このエントリはid:mojimojiさんの「http://www.mojimoji.org/blog/nationalism2」への応答となります。 僕がmojimojiさんの一連のエントリを読んでいて最も違和感を抱いた点は、「民族主義」という言葉の使われ方だった。それがどのような違和感であったのか…

あってはならない

このようなこの種の問題で今まで、逮捕、強制捜査というようなやり方をした例は全くなかったと思います。まさに検察の強制捜査の、今回は、普通の従来からのやり方を超えた異常な手法であったと思っております。また、衆議院の総選挙が取りざたされているこ…

自戒

自身の言動を振り返ってみた時、ふと、ユングの次の一文を思い返すことがある。 ユングは、知識の増大や気づきによって時としてもたらされる二つの態度について、次のように書いている*1。 [知見の増大によってもたらされた洞察は]それまで意識していなか…

これは「だからどうした」という程度の与太話です。どうか、無視してください。

気がつくと、前回の更新から半年以上が経ってしまった。自分の中にある恥じ入る気持ちを消し去ることができなくて、そしてブログを書く気にもなれなくて、いつの間にか、そんなにも時間が経ってしまっていたのだった。直接のきっかけは、去年の6月頃にあった…

たとえ話をやめてみる

「トリアージと選別 - 諸悪莫作」についたid:kmaebashiさんのブコメ。 「たとえ話禁止」というのが今回の騒ぎの教訓だと思ってたんですが はてなブックマーク - kmaebashiのブックマーク / 2008年5月28日 今回の件で言えば、僕は別に、そこから「たとえ話禁…

トリアージと選別

トリアージとは何の関係もない。/格差問題とトリアージを絡めること自体に政治的思想性がある。「トリアージ」を政治利用したのが元記事の問題点。故にこの記事の問題点でもある。 はてなブックマーク - z0racのブックマーク / 2008年5月26日 原語の「選別」…

憲法と権利についての覚え書き

福岡天神での、メーデーデモ弾圧の件。 http://d.hatena.ne.jp/K416/20080501/1209644251 緊急速報 ―五月病祭2008に対する弾圧― | fuf blog 福岡県警によるデモ妨害に対する抗議申し入れ書 | fuf blog 抗議申し入れ書に対する県警側回答が、「まさしく法…

前トリアージ的選別とその延長線上に

今更感が強く漂うけど、「はてな」からはじまった議論について。 僕はid:toledさんが書いたエントリ「あのー、それ、普通にかわいそうなんですがーー「トリアージ」という自己欺瞞 - (元)登校拒否系」で提示されている問題意識に深く賛同するんだけれど、…

擬似科学批判をめぐって

id:demianさんやid:Apemanさんからいただいたご批判について。http://d.hatena.ne.jp/demian/20080514/p1 「疑似科学と平和運動」について再び - Apeman’s diary 特定の専門領域に従事する人もしくは特定の専門領域に強い関心を抱く人が、その良心から、もし…

誤解というよりも

「セレモニーとしての刑事裁判」に寄せられた批判について - 諸悪莫作に対して、sci98さんから応答をいただいた。その中でsci98さんは t_keiさんは私の発言をかなり誤解しているようです。誤解していないとすれば、かなり私と考え方が異なるようです。 光市…

「まぜるな危険」について

光市事件―置き去りにされたもの - 諸悪莫作に寄せられた以下のブックマークコメントについて。予期していた批判内容ではあるけれど、今のうちに釘を刺しておきたい。 id:yuki-esupure それとこれとは別なのよ なんでもごっちゃにするなよ id:kisaragi18 生い…

光市事件―置き去りにされたもの

先の光市事件差し戻し審の判決は国民一般の感覚に沿うものであり、同時に被害者遺族の感情に寄り添うものであったと一般には言われている。実際、本村氏は判決に対して「納得している」とも語っているし、また、主にテレビからなるマスコミ報道での取り扱い…

「セレモニーとしての刑事裁判」に寄せられた批判について

だいぶ体調が復活してきたので、セレモニーとしての刑事裁判 - 諸悪莫作で書けなかったこと、書かなかったことについて書いていきたい。ただその前に、今更ではあるけれど、ブクマコメントや、トラックバックで寄せられた批判について触れておく。 id:torin …

死刑や終身刑についての覚え書き

引き続き体調不良なため、手短に。 光市母子殺害事件の判決を受けて、死刑制度の是非や、その代替としての終身刑の必要性について、問いかける意見が散見される。それらの意見や議論を読んだうえでの個人的な感想を、全く未整理ではあるけれど、自分自身への…

セレモニーとしての刑事裁判

体調が悪いので、手短に。*1 被告人の新供述は、第1の犯行が殺人および強姦致死ではなく傷害致死のみである旨主張して、その限度で被害者の死亡について自己の刑事責任を認めるものではあるものの、第2の殺人および第3の窃盗についてはいずれも無罪を主張…

コヤニスカッティ――平衡を失った世界

“コヤニスカッティ”とはホピ族の言葉で“平衡を失った世界”を意味する。 映画 コヤニスカッティ - allcinema 「自然な感情/感情の自然状態 - good2nd」経由で、「http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20080117」を知る。これは、id:kojitakenさんの 私なんか、…

悪について

浜松市で昨年11月、空腹のホームレスの女性が市役所に運ばれ、福祉担当職員らが取り囲むなか心肺停止状態となり、翌日死亡した。敷地内の路上で寝かされ、市が与えた非常食も開封できないまま息絶えた。「すべきことはやった」と市は説明する。(……) 市に…

言葉が生じるとき

あなたは普段、自分の行動を理解しているし、自覚に基づいて動いている、と見做している。自分の行動には理由があり、そして、他人の行動もまた同様に理由があってのことなのだ、と見做している。同様にあなたは普段、眠りの中で見る夢の中でも、少なくとも…

さて。

そろそろ仕事も体調も、だいぶ落ち着いてきた。だからいい加減、このブログも更新しておこうと思う。ところでいつの間にか、はてなダイアリーに「はてなダイアリー日記の見出しを2段表示に - はてなダイアリー日記」なんて機能がついたみたいだ。これは、け…

星の輝く天空と、内なる道徳律

今更だけど、「姥捨山論争」を追っている。で、その過程で読んだid:sivadさんのエントリについて、ちょっと思うところがあったので、軽く書いておきたい。 「責任」というのは自然における因果を示す概念ではなく、人間・社会がそれらを元に「設定」する人工…

わりと今更でどーでもいい話

昨日のエントリの冒頭でも書きましたが、僕はここしばらく、ネットの情報から遠ざかって生活してきたのでした。情報を得るのはもっぱら新聞やテレビなどで、ネットは仕事上必要となった時にだけ使用する、みたいな感じでした。で、その間に漠然と感じていた…