自由の曙

パキスタン地震に関連して、カシミールの歴史について調べていた。
そんな過程の中で、一篇の詩を見付けた。
その詩は、僕の心に深い印象を残した。


地震とはまるで関係が無いし、このような詩に心を動かされたということを、告白するのは気恥ずかしいのだけれど。
あえて、転載する。*1

色あせたこの光線、夜に汚れた光 ---
これは追い求めていた<曙>ではない、自由に酔いしれて
わたしたちが一途な憧憬から
探求に旅立った<曙>ではない
きっと砂漠のどこかに、天空が
星々のために最後の安息所を用意しているから、
それを見つけだすのだと意気込んでいた。
わたしたちは疑わない、夜の放浪する波が、
いつか岸辺にむかうこと、を、
悲しみに動揺する心が
ついには停泊地にたどりつくこと、を。

……

だが心は、目は、
さらにもっと深い心は ---
亡き愛しい者を求めていまだ燃え立ち、
その激しい揺らめきは光り輝く。
道ばたの街灯のなかでは
新しい知らせであるかのように炎が燃えている。
朝の微風は到来したのか?
それはどこに行ってしまったのか?
夜がわたしたちに重くのしかかる、
それはいま重くのしかかる。
友よ、この偽りの光から逃れよう、
さあ、あの約束された<曙>を探さねばならない。


自由の曙 --- ファイズ・アフマド・ファイズ


この詩は、以下の本から孫引きした。


帝国との対決―イクバール・アフマド発言集 (Homo commercans)

帝国との対決―イクバール・アフマド発言集 (Homo commercans)

*1:引用の範囲を逸脱しているだろうか?