2004年12月3日 未明

古代中国のような世界。


僕は、将軍だった。
僕の属する国は、隣国と永年に渡り、戦争を続けていた。
僕の属する国は西側にあり、敵国はその東側にあった。さらに、僕の属する国と敵国の北側は、両国と国境を接する形で、敵国の属国の領土が広がっていた。そして、その属国の国土は、ほとんどが深い森林で覆われていた。


僕に、指令が与えられた。敵国を攻略しろ、という指令だ。
また、同時に、部下として二人の将軍が配属された。
一人は、僕など足元に及ばない程の経験と、名声をもった英雄的な将軍。そしてもう一人は、僕よりも若いながらも、英俊だと評判の将軍だった。


僕は、心の底からうれしかった。なぜなら、今まで、自分と匹敵する実力を持った人間と行動を共にする、という経験がなかったからだ。始めて、お互いに高め合えるような人達と一緒に行動することできると、そう感じたのだった。


僕達は12万の軍勢を率い、作戦を開始した。僕の考えた作戦は、こうだ。
「国境には両軍ともに大軍を配備し、睨み合っている。そこで、北方の森林地帯を隠密に行軍し、一挙に敵国の首都を突く。」
僕と二人の部下は、敵国及びその属国に気づかれないよう慎重に、12万の大軍を行軍させた。


そして、勝った。
敵国は滅び、永年に渡る戦争も終わった。


ここで場面が変わる。


僕は、首都に凱旋していた。
王宮へと出向く途中、見知らぬ官服を来た男が近付いてきた。


男は僕に話しかけた。
「お見事です。あなたでなければ、このような偉業を達成する事ができなかったでしょう。あなたしか、出来ませんでした。」
僕は答えた。
「私は、あなたが思っているような優秀な人間ではありません。なぜなら、この戦いが終わるまで、兵士一人一人を、駒のように考えていました。兵士一人一人にも、私と同様に人生があり、その一人一人の生き死にに責任を持たなければならないなどと、考えもしなかったのです。」