2005年8月9日 深夜

大きな駅に、電車が停まっている。
僕は車両の中を、後方の車両から先頭へと向かって、空いている席を探して歩いていた。


2両ほど進んだ時。
前方に、白衣を着た男が立っていた。男は、ブツブツと独り言を言いながら、左手に持った霧吹きで、烏龍茶のような香りのする液体を、周囲に散布していた。周りの乗客などおかまいなしのようだ。男の言動から察するに、液体を散布して、それで殺菌をしているつもりのようだ。


僕は男にかまわず、横切って先へと進もうとした。が、その時、男のまき散らす霧状の液体が、僕の顔にかかってしまった。そこで僕は、男に一言、注意を言った。しかし、僕の言葉が耳に入っていないのか、男は相変わらず散布を続けている。
頭に来た僕は、男の持つ霧吹きのノズルを、強引に男の方へと向けた。今度は逆に、男の顔に液体が噴射される形となった。


男はしばらく、固まったように、自分の顔に噴射を続けていた。
しかし、突然、表情も変えずに僕の方へと向くと、物凄い勢いで、液体の噴射を始めた。それまでは、霧状に出ていた液体が、まるで水鉄砲のようにビュービューと、勢い良く出始めて、そしてそれが、僕の顔に浴びせかけられたのだった。


その時、突然「これは夢だ。」と気が付く。
そして、男との間に、ガラスの板をイメージし、そのガラス越しに、液体を吹きかけ続ける男の様子を冷静に眺めることが出来たのだった。