2005年9月2日 未明

鳩を一羽、飼っている。
その鳩は、雛の頃に拾ったものを、ようやく、巣立てるくらいにまで育てあげたものだった。


僕は鳩を籠に入れ、街へと出かけた。鳩を、逃してやるつもりなのだ。


人の少ない路地裏で、鳩を空に放つ。
鳩は、ビルの谷間から見える青空に向かって、勢い良く羽ばたいていった。
力強く羽ばたく鳩の姿を見て、僕は感慨深い気持ちに包まれた。


ところが、間もなくすると、鳩は地面に降りてきた。そして、僕の足元をうろうろとし始める。もう、羽ばたくつもりは無いようだ。


周囲にいる野性の鳩たちと見比べると、体が小さく、弱々しく、どこか病的であることに気が付く。


鳩に近付き、そっと抱きあげる。鳩は、逃げようともしないので、簡単に捕まえることができた。
「あぁ、こんなに簡単に捕まるようでは、自然の中では生きていけないじゃないか。」
僕はそう思い、もう一度、丈夫になるまで飼うことにした。


鳩を抱きかかえながら、大型スーパーへと入る。
ペット用商品のコーナーへと向かい、鳩のための、新しい籠や餌を探した。ところが、そこには犬用の商品しか置いていない。
鳥用の商品を探してうろうろしていると、実家の家族が全員で、買いものをしに来ているのに出会う。


ここで場面が変わる。


僕は家に戻っていた。
鳩が薄汚れていることに気が付き、一緒に風呂に入り、鳩の体を洗ってやっている。
鳩は僕の言葉を理解するようになっていて、いつの間にか、お互いの心がテレパシーのように通じ合うようになっていた。