2005年9月17日 早朝

坂道の多い街に住み始めて、もう数年が経過していた。*1


買いものに出かけ、商店街をぶらぶらと歩く。こじんまりとした商店が多い。
「アイスクリームを買って、家に帰ろう」と思い、店に入る。
その店には珍しいアイスクリームがいろいろと置いてあった。
しかし、いまいち食べたいものが無い。
そこで、その店を出て、向かいの店へと入った。


再びアイスクリームを選んでいると、店に観光客が入ってきた。
観光客は、どうやら道を尋ねに来たようで、店主に質問をしている。
「お寺へは、どのように行けば良いのでしょうか?」
店主は、紙に地図を書きながら説明している。
「この店を出て、右手の坂をあがっていけば、お寺に行き着きますよ。」


僕はアイスクリームを買わずに店を出ると、興味にかられて、寺へと向かった。


店主が言っていたとおりに進んで行くと、大きくて、お洒落な雰囲気の百貨店が見えてきた。
「ここに住み始めてもう何年にもなるけど、そういえば、この百貨店には入ったことが無かったな。。」
そう思い、百貨店の中へと入る。
百貨店のフロアの多くは、若者向けの衣服や装飾品で占められていた。
僕は書店の入ったフロアを探したが、この百貨店の中には無かった。
僕は残念に思い、百貨店を出ると、再び寺へと向かう坂を進んだ。


坂道を進むと、あたりはだんだんと緑が多くなってきて、いかにも丘の上といった感じの、静かな雰囲気となってきた。
緑の合間からは、麓にあるビル群が垣間見える。
僕はその光景を見て、「自然もあれば、ビルもある。いろいろな環境があって、ここはいい街だよな。。」などと思うのだった。


寺に近付く。
どうやらお祭りの期間のようで、寺へと続く石畳の大通りのまわりには、いくつもの出店が出ていた。
大通りは、多くの人で賑わっている。
人混みの中、大通りを抜けてさらに先へと進む。


寺は、周囲を金網のフェンスで囲まれていた。
何人かの人が、フェンスを越えて、中へと入っていく。
僕はそれを見て、自分もフェンスを乗り越えようかと思ったが、「お寺でそんなことをするのは失礼だよな」と考え直し、入口を探すことにした。


フェンスをぐるっと廻っていくと、金網で出来た扉があった。
金網の扉には、蜘蛛の巣が、大きく網を張っている。
扉に近付くと、蜘蛛がぴょんっとジャンプして、僕の体に飛びついてきた。
僕は蜘蛛をそっと捕まえると、蜘蛛を載せた手を、金網の方へと差し出した。
蜘蛛は、再びぴょんっとジャンプして金網に飛びつき、どこかへと行ってしまった。


扉の外側に、なぜか錠がついている。
錠を開けて、境内へと入った。


寺のお堂では、いかにも俗物、といった風情の僧侶が、大勢の人を前にして、説法をしていた。
僕はその様子を見て、「これでは、つまらないな。。」と思うのだった。

*1:夢の中のみの設定