2005年10月4日 深夜

魔術師である老婆の城に囚われている。
老婆の魔法の力の前に、抵抗することが出来ずにいた。


薬品が大量に置いてある薄暗い部屋の中で、老婆から肉体関係を求められる。
僕は、「それは絶対に出来ない」と叫ぶと、テラスへと逃げ出した。


後ろから老婆が追ってきている。
テラスの下は、深い崖となっている。
僕は、決意を固めた。


テラスから身を乗り出して、飛び降りようとする。
しかし、老婆と、その従者の大男に取りおさえられてしまった。


僕はとっさに側にあった薬草をつかみ、口へと放りこんだ。
みるみるうちに体から力が抜け、床へと倒れ込む。


老婆と従者が、憐れむかのように僕を見下ろしていた。
老婆は言った。
「あぁ、なんて馬鹿な事をしたんだ。その薬草には筋弛緩の効果がある。
じきにお前の呼吸は止まるだろう。もう、絶対に助からない。。」


口がうまく動かず、涎がだらだらと流れていくのを感じた。
目の焦点が合わず、宙をさまよっている。
そして息をすることが、徐々に、困難になっていった。


そのような状況になって、僕は思った。「もっと生きたい」と。


気力を振り絞り、目の焦点を合わせる。
そして、呼吸を必死になって整えようとした。


「ゼー、ゼー」と、自分の呼吸音が聞こえてくる。
呼吸音は一定のリズムを刻んでいた。
そのリズムに合わせるかのように、視界が白んでいく。
それに合わせて、老婆や従者の姿は、徐々に霞んでいった。


そして、あたりが白い光りにつつまれ、僕は思った。
「あぁ、これで死ぬんだ。」
不思議と、絶望感は無かった。


そこで、目を覚ました。


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非常に細部にわたってリアルな夢だった。
以下、感じた事をメモ書き程度に。


いわゆる「竜殺し」のモチーフの、変形版であるように思った。
囚われていたのが僕自身であり、さらに、対決すること無く自死を選択したという点に、注意が必要だと感じる。
ただし、必ずしも否定的な要素を持つ夢ではないだろう。
以前に水銀を浴びる夢を見たが、水銀や薬草などは、「変容の過程」をシンボリックに示している。
(理性的には、グロテスクとしか感じないかもしれないけれど)